株式会社 新潟ティーエルオー
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米国大学の研究と外部資金調達意欲について

(株)新潟ティーエルオー
代表取締役社長 結城 洋司

 今年の4月にニューヨーク、マンハッタンにあるコロンビア大学、及びアルバニー市にあるニューヨーク州立大学のリサーチファンデーション(64キャンパスの外部資金による研究を管理する本部)、並びにエリー湖畔にあるフレドニア大学を訪ね、法人化の先輩である米国大学の経験を聞いて参りました。米国の全ての州立大学は、法人化後、学長は会社の社長(CEO)と同様、ここ10年間会社経営の手法をあらゆる細部に亘り適用し、大学内の権限委譲、人事権(雇用と解雇に関して)を掌握し、外部研究資金の獲得(国家レベル、州レベル、市レベル、企業等)の活性化、学内に於いては学生食堂の質と清潔度の向上(塵一つ落ちていませんでした。)、学生寮の満足度、キャンパス内の美的環境整備(ゴルフ場の如き景観)をし、市民の憩いの場を提供したりして、文化レベルの向上に至るまで目を光らせておるようになっています。
 従来日本の国立大学では、学長はある意味では、象徴的立場に周りが奉るという文化的・歴史的背景があります。これが一概に悪いとはいえないところもありました。米国の学長はとにかくビジネスマン色を押し殺しながら、実際はビジネスマインドを根底にしっかりと持って法人化後の大学改革をやってきたという説明を受けました。最近訪問したニューヨーク州立大学(SUNY)のフレドニア大学(学生数5500人)の実績を紹介しますと、学長就任後9年間で国又は州政府の補助金の比率は95%から16%に減りましたが、大学のランキングはトップになりましたし、財政的にも豊かになりました。これは学長をはじめとし、学内のあらゆる層の人々の意識改革に成功した結果だと言っておられました。たとえば、学長の綺麗な接待用公邸に様々なお客を個人的に招待した人数は9年間で2万2千人、年間2千440人、その他に自治体との朝食会、夕食会が定常的にあります。これに加え、大学の教職員、事務職員、用務員全員を含めたパーテーを年一回学長主催で開きます。
 法人化後は、新入生と父兄の前で、兎に角この大学は学生のことを何よりも先に考えると明言し続けた。最優先課題は、学生にとにかく良いキャンパス生活を送れるよう教育環境と生活環境を整える事に注力した。この学生最優先のポリシーを全教職員と全事務職員に機会ある毎に直接語りかけ続けた。
 大学生協(米国ではFSAと言います。)は学生寮、食堂、売店(BOOK STORE)
 パーテー出張料理サービス、旅行サービス業務を運営し、そこからの利益を大学に年5千万円を提供しておりました。またこれに加え、同窓会組織が大変充実しており、この組織が自前の建物を所有しております。色々な寄付金のプログラムがありますが、ただ寄付をお願いすると続かなくなるので、この責任者は専任で次から次と新しいプログラムを作り卒業生とコンタクトを絶やさないようにしています。どの大学を卒業してもその母校に本当にお世話になったと感じ、それを生涯誇りに思い続けさせるようなプログラムを創ることが非常に理論的に構築されているように思われました。
 卒業生が何らかの事情で死亡した場合などは、同窓会からはお悔やみのカードが届きます。「遺産の一部を寄付してくれればその卒業生の名前を付けた記念基金を創設しますので何卒宜しくお願いします。」と言う趣旨のプログラムも届けられます。そこには遺産相続にかんする節税効果もちゃんと丁寧に説明してあります。

 確かに、アメリカの大学構内に入りますと、驚くことに、立派なビルデングが幾つも目に入ってきます。それらの建物の正面には必ず、厚い金属板に浮き彫りされた「OOO基金寄贈」とか「O△OO氏寄贈」の銘板が光っております。
 かくして色々な方法で集められた寄付金は正式に運用会社に依頼し運用益が最大になるように計画されます。この運用益の一部を大学に寄付し奨学金とか図書の購入資金に廻されます。この額は年5千万円くらいだそうです。生協関係と同窓会関係で1年に約1億円の額が大学に提供されているわけです。
 昨年はSUNY64校3年間で1100億円の寄付集めキャンペーン(フィランソロフィといいます。)を行い、予定より9ヶ月も早く目標額を達成してそうです。これに意を強くして3倍の額のキャンペーンを新しく実施する予定とのことです。外部からの研究資金の調達には研究の公募を支援する専門職グループが大学の職員として教員達の情報源と公募の具体的記入方法、記入テクニークを指導・支援しています。日本ではちょうどTLOが行っている役割と非常に似ております。大学の先生達はこのサービスを非常に頼りにし、高い評価をしております。ニューヨーク州立大学全体では2004年度は600億円の実績をあげています。先生達も外部の研究資金獲得に我々が考えられないくらい必死に取り組んでいます。
 日本の国立大学法人も多かれ少なかれこの様な経緯をたどるはずです。競争原理が働く中ではスピードがものを言います。いち早く企業の経営手法を取り入れ実施したり、外部資金獲得に知恵を絞っていく大学が生き残っていくと思います。

イメージ_01  ここにアメリカの法人化後の大学の一面を上手く表現している漫画を紹介します。
 この漫画の一つは如何に先生が自分の研究を企業に高く売りたいか、そのためには宣伝してくれる新聞、それを高額で売ってくれるブローカー(TLOもその1機関です。)の必要を十分解っている事が伝わってきます。「ついにやった!!研究成功 !! 君はすぐ新聞社を呼べ、僕はブローカー(TLO)に電話する!!」
イメージ_02  もう一つの漫画は、大学生の息子が書いた手紙を両親が読んでいる場面です。「お母さん、お父さん:今日僕達は顔にペンキで学校の悪口を大きく描いて大学本部前をデモ行進したよ! 理由はね、先生達を雇ったり首にする権利を僕たち学生に与えようとしないのでね! 楽しかったよ。 息子より」

以上

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